「出会えるよ、絶対。」
初めて好きになった人への想いは特別だ。
その人しか知らなくて、その人しか見えなくて。
想いが届かなかったとしても、必ずまたそれ以上に想える人に出会えると、今なら言うことができる。
『先生。今度有佐を不安にさせても、もう俺居ないからね?自分でなんとかしてよ。』
「分かってる。」
俺しか居ない。
夏波をずっと守っていけるのは。
『いつかすげぇ美人の彼女先生に紹介するから。』
「おぉ、楽しみにしてるよ。」
『絶対そのときも幸せでいてくださいよ。』
今日初めて笑顔を見せた伊吹は、もう迷いのない表情で駆けて行く。
その背中を見えなくなるまで見ていた。
俺は伊吹に比べたら本当にダメな男だと思う。
でも夏波が、そんな俺の傍に居ると決めてくれたから。
絶対ずっと幸せでいるよ。
伊吹がここに置いて行った夏波への気持ちも一緒に抱いて、これからもずっと。