俺の為にそこまでやってくれなくても良いのにと思い、だけどそんな健気さが本当に愛おしい。

申し訳なくなるくらい、俺は有佐に何も返せていないのに。


有佐が俺と居られるだけで幸せだと言ってくれたとき、正直かなりホッとした。

やっぱり教師と付き合うなんて面倒だったと思われていなくて。

もし有佐がそんな風に思って離れて行ってしまったらどうしようと、情けない程不安で仕方なかった。

有佐はそんなことを思うような子じゃないのに。

それは俺が1番知ってるはずなのに。



「俺、どんだけハマってんだよ。」


手を伸ばせばすぐに触れられる距離に居てくれるこの子が本当に大切で、とにかく失うことが怖かった。


不意に、そんな俺の独り言にも起きる気配のない有佐を“帰したくない”という思いが湧き上がる。

和哉の部屋に行くと言って家を出て来ているものの、だからといってあまり外泊させるのは良くないと思い夜には家に送っていた。


今日は帰さなくても良いだろうか。