「全部、違うから…」


何から否定すれば良いのか分からずそれだけを言うことが精一杯で、気づけば教室を飛び出していた。


もう行かないと決めたのに、私の足はまっすぐにあの部屋へと向かってしまう。

彩ちゃんの指摘に混乱して動揺する中ではっきりと感じた想い。


先生に、会いたかった。


そこから私に起こった出来事は、未だに夢のようで。

信じられなくて、だけど先生の腕の中はとても温かくて。

現実なんだ、先生と恋人同士になれたんだって思ったら、1度封じ込めたはずの想いが溢れ出て止まらなくて。


本当に本当に、先生のことが大好きだって思った。


私が一瞬感じた彩ちゃんへの申し訳なさも先生は丸ごと包み込んでくれた。

大切にする。

その言葉がただただ嬉しかった。


私も、先生のことを大切にしたい。

前の彼女さんがまだ先生の中に居たとしても、今私を見てくれているのなら。


先生の過去も含めて、全部全部大切にしたかった。