『だから、すぐにじゃなくて良いです。いつか…いつか先生の中から彼女さんが居なくなってくれれば。』

「有佐…。」


あまりにもまっすぐにぶつかる言葉も、強がっていると分かる気持ちも、ダイレクトに心に刺さる。


自惚れじゃなく有佐の中には俺しか居なくて。

なのに俺の中にはとっくに別れたはずの彼女がまだ居るかもしれないと思われていて。

だけど有佐はそれも含めて好きだと言ってくれていて。



「俺が好きなのは有佐だけだから。信じろ。」


そんな有佐を好きだと思った。心の底から。



「絶対、大切にするから。」


絶対に傷付けたくないと、誰よりも何よりも大切にしたいと思った。


きつくではなくそっと。

だけどその想いがちゃんと伝わるように、優しく有佐を抱き締める。


静かな部屋に、窓の外から微かに声が響く。

楽しそうにはしゃぐ男女の声。

誰にも気兼ねすることなく、堂々と付き合うことができる2人。


これからの俺たちに待っているのは、決して平穏な日々ではないと分かっている。


それでも、今はこの時間がずっと続けば良いと思った。