「わかった。いいよ、黙っててあげる。そういえば雨宮と暮らしてるんだって?親戚とはいえ、きっとこれから大変だよ」


その口調は同情でもなく、どこか面白そうな響きをまとっている。


「彼は人気があるみたいだね」


私のウンザリした声に、薫は苦笑しながら「かなり人気があるの間違いだね。あのルックスだから」と言った。

薫の話しだと、伊織はルックスも良く、成績も運動も出来、人当たりも良いため男女問わず人気は高いという。

クールだが、友達といる時に見せる笑顔にファンはメロメロ(!?)だとか

というか、人当たりがいいとか聞き間違いかと思った。
少なくとも、この数日その人当たりのよさを見ることはなかったけど。

それに。笑顔ねぇ……。見たことないけどね。


「詳しいね、夏目さん」
「小学部から一緒だからね」


私は好みじゃないからよくわからないけど。と、一応“親戚”の私の前でハッキリと言い放った。