七夕物語



懐かしい声に振り向くとそこには


「ひ…こぼし…様…。」


一年前とかわらない
やさしい表情

会えないと諦めた人が
今、目の前にいる


「どうして…。
今日は、こんな雨なのに…」


「私も、織姫様と同じことを
しました。」


「え…?」


「紙に貴女に会いたいと書き、
貴女に一番近い場所で
願ったのです…。
すると不思議なことに
今、こうしてここにいるんです」


にこりと織姫に笑いかけると
「ずっとお会いしたかったです」
そう言うと
織姫を抱きしめた


「私も…ずっと、ずっと
貴方に会いたかったです…!!」


織姫もぎゅっと抱き締め返す



―そして二人は同じことを願った


来年もこうして
また会えますように。

願うのなら、
星の綺麗な晴れた日に