七夕物語


わかってる。私が悪いのは

出会ったあの日から
まわりを見れなくなった自分が
一番悪い

父上を恨んだって意味ない
だって父上は私たちを思って
離れさせたんだもの

でも、こんな仕打ち…
神様はひどい人だわ

机の上にある長細い紙

無駄だとはわかっていながら
ペンをはしらせる

―彦星様に会えますように―

そう書いた紙を小さく折り畳んで
大切そうに握り締める


そのまま机に俯せて
物思いにふけっていると

急な眠気に襲われて
織姫はゆっくりと目を閉じた


―夢を見た

かさざきの背をわたり
幸せそうに笑う

自分と、愛しい人の姿

すると彼は私に背を向けて
どんどんと離れていってしまう


まって、行かないで、


思っているのに
声も出ないし足も動かない

―お願い。いかないで…


恐怖に目を覚ますと
部屋はもう薄暗く影を落とし

外も暗く、夜になろうとしていた

私、ずっと眠ってたんだわ…


相変わらずの雨。
窓から見える大きな川
その淵にある笹

それを見て織姫は思いついた