七夕物語


-7月6月-
奇跡の夜の前日
窓から入る夜の風に
逸る想いを漂わせながら

織姫は思い悩んでいた

「嗚呼、星が見えないわ…
明日…晴れるでしょうか…」

眺めている夜空に
星は一つも見えなかった
それどころか、雨の匂いすら感じられる気がしていた

明日は雨。
嫌でもそう思わざるをえなかった

「織姫や、
ちゃんと機織りをしているか?
集中するんだぞ?」

ガラリと戸を開け
顔を覗かせたと思えば
それと同時に発した言葉に
嫌気がさした

「…わかっています。」


父上はずるい。と
織姫は思う

引き合わせたのは父上なのに
引き離すのも父上なのだから


「…今日、今日だけ我慢すれば
明日は…きっと会える…」

不安の宿る眼差しで
真っ暗な夜空を見上げた