* 角砂糖 と 恋 *




「唯誕生日おめでとうー!!」


あの日から5年。
もう短大生になって1年目の冬。

今日は私の19歳の誕生日♪

短大は実家から離れてて
今は一人暮らし中。

狭い部屋に友達が集まって
誕生日を祝ってくれてるの*


「みんな、ありがとう〜(泣)」


プルルル―‥


「あ、電話だっ‥はーい」


友達が彼氏からの電話に出る。


「彼氏かあー‥」

「唯彼氏作んないの??」

「好きな人いないもん」

「なんだっけ?
 前理想の人聞いたよね?」


私の理想の人。

誰に対しても優しくて
いっつも笑顔で天然で
すごく頭良くて運動も抜群で
かっこいい人。


「理想高すぎじゃない?(笑)」

「いいのっ!」

「それじゃ彼氏できないわ〜」

「いいもんっ」


誰に対しても優しくて
いっつも笑顔で天然で
すごく頭良くて運動も抜群で
かっこいい人。

これ以上の人じゃなきゃ嫌。

なんでって、
彰吾以上の人がいいから。


5年経ってやっと
もう彰吾には会えないって自覚。

それでも彰吾が消えなくて

それなら
彰吾以上の人がいいって

これが18歳の私の結論だった。


「彼氏と会うから帰るね」

「ほーい。今日ありがとねっ」

「あ、私たちも帰るわっ」

「うん、みんなありがとお」

「「ばいばーい」」


みんな帰って一人ぼっちの部屋。


「彼氏‥恋かあ‥」


本当はもう恋なんてしないと思ってる

高い理想を持つのも
彰吾を忘れたくないからで‥

彰吾が現れない限り
恋することはないだろう


心の底でそう思ってるのは
自分でも分かってたのに

19歳になった今日
まさか恋する事になるなんて‥

私は思ってもいなかった。

みんなに貰ったプレゼントを抱え
ベッドに転がり眠りに着いた。