香桜~かおりざくら~

6月12日

さぁ~て…

来てしまったゾ っと…

香桜の上の坂で身をかがめて座る。
雨は2日たってもドバドバと降っていて、
地面はぐしょぐしょ。

どうしても
仲直り…?したくて。
来てしまった。

この角度じゃ
香桜の根元…
いつもあいつがいるポジションを見る事は出来ない。

「ふっ…!うっ…!」

少しの声を混じらせ、
息を吐きながらゆっくりと
坂を滑っていく。

どーせいないだろうなぁ…

そろぉ~…

「あと…ちょぉっと…!」

見え…た…

「あ~…あはは…はぁ~…」

いない。

変な声が漏れた

やっぱりっていうようなのと
がっかり…
も入ってると思う…正直。

そりゃぁ…ねぇ。
当たり前だよ!
あんな別れ方してたら…ねぇ?
誰だってこない。
でもちょっと期待してた。
前みたいに 普通に居て、
普通に接してくれるんじゃないか…って。
「やっぱり同電波だね。」
って言えるんじゃないかって…

そんなの期待してるんなら
なんで今まで行かなかったの…?

それは…

怖かったから。

「なんで来たの?」
とか言われたら嫌だし…
同電波じゃないって面と向かって
言われたら…
悲しい…
せっかく出来た
良い関係が…崩れちゃう。

ごめん…
ごめんね…

冷たい雨の中で
なぜか 
ホロロっと
私の頬には
暖かい雨が降った。

悲しくて…
小さくて…
切ない…