俺がそんな妄想で頭をいっぱいにしてるとは、つゆしらず、
今日も、カノジョはアンドーの書きだした黒板の英語をノートに書き写している。

あとで、俺もノートをコピーさせてもらおう。

俺は、カノジョの隣の席で、ひたすらノートの隅に、巨大なバストの乳輪部分が目玉の顔のオッパイ星人が円盤にのっている絵のらくがき仕上げていた。

コンコン。

静まり返った教室のドアをノックする音が響いた。
国語の先生がドアを少し開け、教室の様子をうかがいながら、遠慮がちに声をかけた。

「安藤先生。奥様がちょっと…」

担任のアンドーは、クラスのみんなに「すまん、あとは自習な」と言うと、足早に教室を出て行った。

「アンドーってさ、奥さん今妊娠中なんだって~」
「じゃ、たまってんじゃない?」
「奥さんが妊娠中のときって、よくダンナが浮気するとかって言うじゃん」

教室に噂話の声がわいた。

俺はそんなことどーでもいいけどさ…っと、また隣のカノジョをチラリと見た。
カノジョは窓から、廊下を見つめていた。

そして、その頬を涙が一筋流れて落ちた。