「俺、演劇部やめるから」

教室に誰もいなくなったあと、
俺はカノジョに言った。

「どうしたの?!急に?!」

俺はカノジョから顔をそらし、目をあわせずに言った。

「向井に告白された」
「えっ!!」

カノジョは、唖然として俺の顔を見つめたが、
それでも俺はカノジョの顔を見なかった。

「あの、向井くんって…」
「知ってたんだろ?アイツがマジで生BL男だって。
だから、演劇部であんなことやらせてたんだろ、俺たちに!」
「知らないよ!ぜんぜん…ほんとに…」

カノジョが書いたBL脚本通りに、向井はセリフを言っていたけれど、どうりで演技がうまいはずだ。

「あんなことさせるから、アイツ誤解して、俺はキスされた」
「向井くんとキスしたの!?」
「いきなり奪われたんだよぉぉっ!俺のファーストキス!!」

唇にミントチョコの味がよみがえり、
おもわず頬がカっと熱くなった。

「それで…向井くんとつきあうの?」