ヨロヨロと立ち上がる真緒を 咄嗟に支える。 絶対置いてけない。 「迷惑かけたくないの…」 真緒の微かな声が あたしの耳元で響く。 「迷惑なんて思ってないからっ!」 なにを遠慮してんの知らないけど 真緒を置いてなんか、絶対行かない。 でも、あたしも女だ 人一人抱えて山を 登れるわけがないし、引き返せない。 だからって通りすぎるのは 皆、冷たい人ばかり 助けを求めても…… 「どうした?」 どこかで聞き覚えがある声…… あたしと真緒の傍まで来て その声の主になぜか胸がホッとする。