「あ、ごめん。大丈夫?」 おでこを押さえながら 見上げると、爽やかな男の人が心配そうな顔をしている。 「えっと…大丈夫です」 あたしからぶつかったのに… 「なら良かった」 ニコッとする笑顔は 爽やかな感じをそのまま残す。 先輩かな… あたしがペコリと頭を下げると 彼は「気をつけてね」と言って去って行った。 なんだか、いい人みたい。 さっきまでの沈んだ気分が 彼の笑顔をみたら軽くなった気がした。 それから教室に戻ると 真緒はいつも通りだった。