電話でアポを取り終わって携帯を切ると足下にすり寄ってきた黒い猫
「お前……すっかり飼い猫らしくなったなぁ」
毛並みを綺麗で、撫でれば気持ちよさそうに目を細める。
黒猫と一緒に部屋に戻れば、蘭子と白馬が何かを話していた。
なんだろう、と側に寄れば
その会話に少し重さのある雰囲気がした。
聞こえた言葉は、自分を頼むという言葉
白馬が蘭子に何を頼んだ?
上手く聞き取れない事に少しの苛立ちを感じた。
「あ」
ス、と黒猫が私を横切り、部屋へと入っていく。
仕方なく、黒猫の後に続いた部屋へと入る。
「あぁ、紅葉ちゃん!早く会いたかったよ!さぁ俺の胸にCome o……」
バキッ、と殴っておいた。
全く、微塵も香らせないな、コイツは……
「二時間後に会う約束をした。」
そう伝え、ソファに座る。
「…そういえばこの猫、名前は?」
白馬の肩に乗る黒猫を見てふと思った。
「ないですよ?」
付けてやれよ。
名前は大事だからね。


