紳士と淑女の推理紀行






浮気、ねぇ……




「その浮気していたという男の名前は?」



「派遣社員の…坂口良太」




坂口 良太(サカグチリョウタ)




派遣社員という事は……また会社に逆戻りか




「そうですか。ご協力ありがとうございます。……ところで」




言葉を区切り、飯田を見る。




「…“最近”と言いましたね。…もしかして貴方、まだ山本よしみさんに付きまとっていたんですか?」



「ー‥っ!!」




図星、といった顔で、目を見開く。




「肯定と取ってよろしいみたいですね。」



「事件があった時間、どちらにいらっしゃいましたか?」



「まっ待てよ!俺を疑ってるのか!!」




白馬の質問に動揺を見せる飯田




「念のため、ですよ。貴方が犯人ではないのなら、素直に教えていただきたい。それは貴方自身を守れるんですから。」




全く話がうまい男だ。




感嘆の声を漏らさず、されど感心していた。




相手を守っているような言いぐさで情報を引き出すところとか




少しだけ威圧感を出し、優位に見せる事で話させるところとか




確かに、この白馬という男が探偵という事がよくわかる。




今までイマイチ信じがたいと思っていたが、一緒に捜査をしてみるものだな。