紳士と淑女の推理紀行






会社を出たあと、私たちは飯田悟という男に会いに行った。




勿論、住所などを調べてもらったのは蘭子だが




古いアパート
ギシギシとなる階段を上がり、チャイムを鳴らす。




「…はい?」




ギィ、と開かれたドアから顔をだした男




「飯田悟さんですか?」




確認すれば頷く飯田




痩せ型で猫背、高田とは正反対の印象だ。




「……あの、なにか?」



そう言われ、高田の時と同じように紹介した。




「探偵、ねぇ…で、探偵が僕に何の用ですか」




明らかに面倒だという仕草をする飯田




「山本よしみさんをご存知ですよね」




山本よしみの名を出して、明らかに眉をひそめる。




「…えぇ、高校の時付き合っていましたから。アイツが死んだ事ならニュースで見て知りましたよ。」




どうやら何故自分のところに来たのかわかっているようだった。




「実は山本よしみさんの恋人である高田さんからお聞きしたんですが……飯田さん、貴方山本よしみさんに付きまとっていたらしいですね」



「……っ、」



「何故そんな事を?」



「あ、アイツがいきなり訳もわからず振ってきたんだよ。説明もせず振られて……り、理由を聞こうと…」



「それで?理由はわかりましたか?」



「…アイツ新しい男に乗り換えたんだよ。別れた後すぐ。…高田って奴もすぐ捨てられるんじゃないかと思ってたぜ。」



「何故?」



「知らないのか?アイツ高田の他に最近男ができて浮気してたんだよ。」