紳士と淑女の推理紀行






しばらくの間は待つしかなかった。




白馬からの連絡は足が痛いとか酔っぱらいにナンパされたとか




今回は不発かと引き上げようとし、蘭子を胡桃沢に任せ白馬の方に向かった矢先だった。




白馬の後ろを歩く人影




ぞわりとした悪寒が走る、まだ気付いていない白馬の背中に向け腕を振り上げた人影




「白馬っ!!」




叫び、走る。




振り返った白馬にその腕が振り下ろされる。




「はくばっ…………っ!?」




カラン、と音を立てた物が私の足元にあった。




「ナイフ…っ」




血の付いたナイフ




まさか、




「あー痛いなぁ。」




間の抜けた声




私の方に近づいてきた人影




「紅葉ちゃーん消毒して下さいよーナメてー♪」



血の流れた腕を出して言う白馬だった。




「お前っ………無事だったのか?」



「あれ残念がってます?ひどいなぁ、せっかく通り魔捕まえたのに。」




と指さした方に恐る恐る行けば道で伸びている男がいた。




「…気絶、何をしたんだ?」



「咄嗟に腕でガードして溝に蹴りを。見えませんでした?」




私からは人影が白馬に重なって白馬が見えなかったんだ。




「…とりあえずこの男は警察に連れて行くとして、白馬見せろ。」



「え、俺の全てを?」



「ケガした腕をだ。お前の全てになんぞミジンコの毛程も興味がない。」



「きっずつくー。」