言った後、白馬は思いっきりため息をついた。
「同意しかねます」
「何で貴様の同意を求めにゃならんのだ。お前には関係ない。」
「探偵としてそんな危ない真似をさせる訳にはいかない。」
「探偵だからこそできる事は何でもする。」
「…じゃあ一人の男として言います。
囮捜査なんて冗談じゃない危険すぎる。」
考えたのは私が囮になって通り魔を引きつけるつもりだ。
幸い木曜は後3日もある。
それまでに充分準備や作戦を練る事だって可能だ。
私にも考えあっての事なのだから。
「…充分に注意はする。それに私は護身術も身に付いているからそう簡単にはやられはしない。」
「通り魔の手口は背後から切りつけるという物だ。リスクが高い。」
「気配だってある」
「気配を認識した時にはもう遅い場合だってある。」
「………やけにやっかむな。」
「言ったでしょう。貴女はいつもそうだって……そうやって自分の危険を省みない。」
「わかったような口をきくなとも言ったぞ私は。」
お互いが沈黙をつくる。
白馬の言い分はわかる。危険も承知だ。
だが探偵として、可能性という鍵があるのなら私は集めなければならない。
事件という箱を開けるためにー‥
「…わかりました」
沈黙を切り言った白馬
「ではこうしましょう。」
覚悟を決めたその顔は真剣だった。


