「私はその人を知らない。どんな人かも」
何故、その事件を解決してくれたのか
両親の仇をとってくれたのか
何一つ、
私にはわからない。
けれど、もし会える事ができたなら
「礼を言いたい。何故、とかどうしてかなんてどうでもいいんだ。ただ感謝してると伝えたい。」
「ーーー………」
ずっと黙っている白馬
「ー‥っと、辛気臭い話をしてしまったな。すまない。」
「…いや、構わないよ」
少しだけ落ちた声のトーン
やっぱり普通に話すような事ではなかったか‥
「あ~‥白馬、必要なら忘れてくれても……」
「俺に話したって事はそれだけ俺を信用してくれてるって事だよね♪
嬉しいなぁ、結婚式はいつにします??」
「よし、殴って忘れさせてやる。」
「やだ紅葉ちゃんのおてんばさん♪」
「名前で呼ぶな」
白馬がそんな繊細な奴な訳があるか私の大馬鹿者が。
がしっ、と握ってきた手を叩き落として私は一人で帰路に着くことにした。