暗い夜道を歩く。
街灯はまちまちで、
けれど歩くには問題はないくらいの薄暗さ
それに、ペンライトも持っていた。
すこし行けば、帰り道に見たあの場所に着いた。
あまり人通りもなく、しかもこんな時間だと、辺りはしぃん、としたばかりだ。
黄色いペンキのついたアスファルト
しゃがんでペンライトを照らす。
明るい黄色で、完全に乾いているし、特に怪しい点は見つからない。
と、思ったが点々と一滴落ちたような後もある。
それは別にどこかへ続いているわけではなかった。
これでは何の収穫もないな、と腰を上げたとき
ふと、あの黒猫を思い出した。
あの黒猫は泥だらけだった。それは野良だったのだから問題ではない。
だが何か違和感が……
「前脚……」
そうだ、前脚なんだと思い出した。
あの黒猫の前脚に、黄色いペンキが少量だが付いていた。
初めに見たあのアスファルトのせいで、
インパクトの薄い印象になって範中にしなかったのだ。