紳士と淑女の推理紀行






「まぁまぁそんな怒らないで。きれいな顔が台無しですよ?」




そっ、と撫でられた頬がぞっ、とした。




「いい加減に……」



「その通りですわ!!」



突然、大きな声を上げてきた蘭子




見ればふるふると震えているではないか。なんだどうした。




「白馬さん!」




ガシィッ、と白馬惟牒の手を両手で握り締めた蘭子




「紅葉ちゃんの綺麗なお顔を誉めるだなんて見る目がありますわ。
ごめんなさい蘭子、勘違いしちゃいました。白馬さん、紅葉ちゃんをお願いいたしますね。」



「勿論です。」




ちょっと待たんかい。




「蘭子!何を言っているんだ!大体こういった奴はな!攻略した相手はもう用なしだとすぐポイするような顔だぞ!!」



「えー?顔はちょっとどうにもできないな。」




後ろでケタケタ笑う白馬惟牒がいる。邪魔だ。




「紅葉ちゃん!大丈夫ですわ!紅葉ちゃん好きに悪い方などいません♪」


「そうそう、大丈夫ですよー。ホラ紅葉ちゃんおいで?」



「誰が行くか馬鹿野郎。」




手招きすんな。ってか名前で呼ぶな。