「また明日ですわ、紅葉ちゃん」



「あぁ、さよなら」




蘭子と十字路で別れて家へと帰る。




…静かだな、そう思った。




しばらくうるさいのが隣にいたからな。




そりゃそうだ。いきなりなら違和感がありすぎる。




「………」




コツン、と小石を蹴ったあと足を止めた。




隣の家はあの家だ。




「主のいない館か‥」




また幽霊屋敷とか噂されるぞ。




大体、数ヶ月もいなかったじゃないか。




なのにすぐ引っ越すて




タチ悪いよ




キィ‥




あの合い鍵を使えば、鍵は簡単に開いて




鍵変えとけよ危ないな、とぼんやり思った。




足を踏み入れたのは初めて逢った場所




「…いつ見てもすごい量だな」




何百、何千、数えるのも馬鹿らしいくらいの量の本




一冊一冊のページ数も多い




これ全部読んだのか、そう思った。




「確か……」




本棚の下から15段目の右から8番目の本




「よっ、と‥」




脚立を用意して、登った。




本棚の下から15段目の右から8番目の本を取る。




ていうかいちいち言いにくいんだが




初めて逢った時に、読んでいた本




パラ、パラ、と読み進める。




なんてことない、ただの物語だ。




ただ、白馬が読むには意外な程ファンタジー




だって妖精だぞ?
どう思う?




女子か。