でも、遅かった。




搭乗ゲートをくぐった白馬はもう私には見えなかった。




「…紅葉ちゃん」




後ろには蘭子が追いついていて、私を心配するように見ていた。




「…ごめんなさい、紅葉ちゃん‥」



「蘭子は悪くないだろ」




仕方ない事だろ




私じゃ白馬は救われなかった。




救うという事自体がおこがましい事だった。




私は、あまりに無力だ




握り締めていた紅葉の栞は、少しだけくしゃくしゃになってしまった。