紳士と淑女の推理紀行






初めて会った時から、薫らせていた




君がいなくなるかも、という気配




それは今、




どうしようもなく変わらぬ事のできぬ確証となってしまった。




キィッ…バタンッ




蘭子の家の車を出てから空港まで走る。




足は早く進めているはずなのに、変わらない人混みの景色のせいで進んでいない気がする。




搭乗アナウンスが響いて、焦りだけが募る




「…ハッ……」




私はわからなかった。




今こうやって走る意味が




白馬に会って、私は何をするつもりなのだろうか。




わからない




でも




たった1つだけ思う事がある




「…白馬ぁっ!」




搭乗ゲートの向こう側にいた白馬に、思いっ切り叫んだ。




「…逢坂、さん?」




目を丸くして、何故ここに、というような表情をして




彼は私を見ていた。




紅葉の栞を握り締めて胸にあてた。




あの時みたいに、奇跡が来てくれるなら




今来て欲しい。




「…白馬っ、私は…」




彼に対して、たった1つ思う事がある。




子供みたいに駄々をこねるだけだけど




お願い




「…いかないでっ……!」




また、会えなくなるのは嫌だよ