紳士と淑女の推理紀行






紅葉の栞を机上に置き、着替えることにした。




あの後、白馬は黙ったきりだった。




何を考えていたのか、暗闇の中で彼の表情を読み取る事は不可能だった。




ただ、私は白馬に縋ってしまいたかった。




何故かはわからない。




ただ、そうしてしまいそうだった。




両親の様に、遠い存在になってしまう気がして




「考えすぎ、だよな‥」




そう、考えすぎ




そう思えれば、




こんな不安にはー‥




ガチャッ!




「紅葉ちゃん!」



蘭子!?」




いきなり部屋に押し入ってきた蘭子




「け、今朝、空港の情報を集めていたんですがー‥」



「何故だ。」



「私が空港にハッキングしたのかなんて今はどうでもいいんですわ!」



「よくない!とってもよくないぞ!」




怖いわ!!




親友が怖かった。




「空港の搭乗客名簿に…イギリス行きの飛行機に……白馬くんの名前が!!」




…………は?




「白馬くん、イギリスに帰ってしまうんです……!!」