「俺はただ、外で遊んでいただけだった。それなのにいきなり後ろから羽交い締めにされて、変な薬嗅がされて、誘拐された。」
「探偵を呼んで、助けてもらって、礼を言いにいったらその探偵が目の前で殺されて」
「俺はまだ子供で、助けるどころか守られて、関係のない人を殺してしまった感覚に陥った。俺自身は何もしていないのに。」
「ずっと“罪”に捕らわれて来た。この目の前のクズのせいで」
犯人を目の前にして、
「クズだけじゃない。あの人達もだ。なんで守った?なんで目の前で死んだ?」
湧いた感情は
「…そう思ったら突然だった。何かが頭の中で切れたんだ。気付いたら殴っていた。目の前のクズを。」
「殴って蹴って、抵抗もできない相手を。ただがむしゃらに」
「冷静になったら動きもしてなかった。死んでなかったけど。」
「そのまま、警察が来る前に逃げた。」
紛れもない殺意だった
「………。」
ほら、君もそんな顔をする
「わかったでしょう?俺は紅葉ちゃんの為でもあの人達の為でもない。」
「自分の復讐の為に、アンタらを利用したんだよ!!」
声を荒げて、らしくもない顔だと君は思ってるだろうか
コレが、俺なのに
暗くて真っ黒な、そんな感情剥き出しの
馬鹿なガキだ。


