暗い夜道を歩いて、等間隔にある街灯が足下を照らす。




二人の間に、会話はなかった。




あったのは重い沈黙と、道を擦る靴の足音だけだった。




魚沼は高田を警察に連れて行き、事件は幕を閉じた。




でも、




「白馬…」




発した言葉は思っていたよりも小さくて、もしかしたら聞き取れなかったかもしれない、それぐらい小さい声だった。




でも白馬の足は止まって、振り返りはしないが私の言葉を待っていた。




「…ぁ、の、だな…」




声を掛けておいて、何を言えばいいかわからないなんて私は馬鹿だ。




「…事件、の事だけど……よく、わかったな。調べる事もしっかりとしていて、探偵としての才能もあるし、私よりよっぽど探偵に向いているし……」




違う。
言いたい事がこれじゃないのは、白馬もわかっている。




だから、自分から言い出させてしまった。




「ご両親、の事でしょ」



もはや私に聞き返す事すらせず、白馬は言った。




「……」




私は頷いて、白馬にはそれが見える筈がないのに浅い吐息をついた。




「…聞いてたのは、知ってます。いたでしょ、あの時」



「あぁ…」



「どう思った?」




わざとワントーン高い声色を出して、白馬は私に聞いた。




どうって、




どう思った?