「…ぁ、ああ……ぁ」




がっくりとうなだれる高田は汗を流し、それを拭おうともしない。




いつのまに白馬は会社の人員名簿を見ていたのだろう




私と白馬では、探偵として優秀なのは白馬だ。




今回、それを実感した。




「高田、お前を逮捕するー‥うわっ!」




高田の腕を掴もうとした魚沼を振り払い、高田は立ち上がる。




そして私と白馬を見て




「アイツが!別れてほしいって言ったのにアイツが別れてくれないからだ!自分だって坂口と浮気してたくせに…!」




そう言って、白馬の方へと殴りかかっていった。




「白馬っ…!!」




殴られる、そう思った結果は違った。




いや、確かに殴られはしたのだ。




「ぐはっ…!」




高田が白馬によって、




予想もつかない展開すぎて私と魚沼は目で壁に叩きつけられた高田を追っていた。




大口開けて




でも白馬はそれだけで終わりにしなかった。




「かはっ……」




高田の鳩尾に蹴りまで入れた。




「ちょ…!白馬!?」




いくらなんでもやり過ぎだと、白馬に駆け寄った。




「白馬っ!!」




まだ殴ろうとしていた白馬の腕を掴む。




見えた白馬の瞳は冷たかった。今まさに殴っている高田ですら見ていないようで




だがすぐに表情が変わり、笑みを浮かべた。




「あぁ‥ごめんなさい。つい防衛反応で」




ゾッとした。