とりあえず脚立を立たせ、本棚に近づかせる。
「これでいいか?」
「そうそう。
初めから素直にそうしてくれればいいんだよ。」
………………。
ガッシャガッシャガッシャガッシャ
「ちょっ……脚立蹴るのやめっ……揺れる落ちる落ちる…すみませんでしたありがとうございます!!」
そうそう。
初めから素直に礼を言っておけばよかったんだ。
そしたら私もこんな脚立を蹴るなんて真似をしなくてすんだのだ。
脚立から降りてきた青年の顔を見る。
年上のお姉様だかに好かれそうな甘いルックスだ。
「で、君は何しにきたの?」
そう言われ、ここに来た理由を思い出した。
持っていた回覧板を渡そうとしたら
「にしても可愛いね君ー性格は難ありだけど好みだよー?ここで会ったのも何かの運命だよ。どう?僕と付き合ってみな……付き合って下さい!」
「そうか断る。
ほら回覧板受け取れよ。」
この短時間でコイツが変人だということは理解できたな。


