「俺ね~ホントは洋酒よりも和酒が好きなの。とくに焼酎。黒麹が好きなんだ。ここの焼酎はいいもん揃えてあるんだぜ?」
啓人はメバルの身を器用に箸でほぐしながら口を開いた。
「あら。私も好きよ、焼酎。芋より麦ね」
「気が合うかもな、俺ら♪」啓人は嬉しそうに笑ってビールのグラスを私のグラスに軽く合わせた。
そしてビールを一口飲むと、メバルを口に入れる。
彼が何かを食べる姿を、初めて見たけれど食べ方が綺麗。
品があって育ちの良さが窺い知れる。
魚の食べ方も綺麗だ。
慣れているのか、魚を食べることにちっとも苦にならない、という感じだった。
「意外ね。もっと肉食だと思ったのに」
「肉?まぁ好きだけど。昔より食えなくなったな~」
「またおっさんみたいな発言して」
そう言えば蒼介もお肉より魚が好きだ。彼も煮魚が好きで、私が料理する金目鯛の煮付けは特にお気に入りだった。
何故
こんなときに蒼介のことを思い出すのかしら。
やっぱり後ろめたいという気持ちがあるからかしらね。
だけど私はそんな考えを振り払うように、
「大将、森伊蔵くれるかしら?」と威勢よく手をあげた。
「おっ!早速??さっすが銀座の女♪」
啓人は嬉しそうに笑って、彼もお気に入りの焼酎を頼んだ。



