「いでっ!
何すんだよ。いきなり~」
痛そうに眉をひそめているも、本気で怒っているわけじゃなさそうだ。
どうしてかな?
彼と会うのはたったの三回目だって言うのに、私は何をしたら彼を怒らせるのか何となく分かった。
そして何を言ったら喜ぶのかも……
目の前の信号が青になった。
「行きましょ」
私は啓人の手を引くと、さっさと歩き出した。
彼は、自分の言うことに全部賛同してくれて自分に従ってくれる従順な女の子をあまり好きじゃない。
思い通りにならない女こそ、手に入れたくなるのだ。
自分の方に振り向かせたくなる。
自分のモノにしたくなる。
傲慢で我侭で、危険な―――男。
でもその一方で、甘えたい願望が強いのかもしれない。
愛情に飢えていて、それが偽ものだと分かっていても小さなことに縋りたくなる。
傲慢さはそれを隠すため―――……?
私が手を引いて“あげる”と
「うん♪」彼は素直についてくる。
ほらね。
いつもあんたのペースにはまってる私じゃないのよ。
今日は覚悟しなさいな。



