Addict -中毒-



軽そうに見えるけど、なかなかの見た目だった。


ジャニーズ系って言うのかしらね?


「誰かと待ち合わせ?」男はにこにこ聞いてきた。


「ええ。もうすぐ来るわ」


「男?」


もう一人がすかさず聞いてくる。


「そんなところね」私は軽く肩をすくめてみせた。


何だ…ナンパか。


思えばナンパなんて久しくされていない。


「どうせ俺たちよりイイ男じゃないでしょう?これから俺らと飲まない??絶対楽しいよ?」


「遠慮しておくわ」


「ずっと待ってるし。きっとその男にブッチされたんだよ。実はさっきから見てたんだよね。モデルか何かやってるの?すっごく可愛いよね」


男はめげずににこにこ喋りかけてくる。


可愛い?モデル??


「そんなわけないじゃない」


下心見え見えのお世辞にうんざりして私は手をひらひらさせる。


「えー!?モデルじゃないの??じゃ、女優さんだっ」


そんなわけないじゃない。


いい加減うんざりして、首を捻ると






「紫利さん!?」





と、あの耳に心地いい低くセクシーな声が私を呼んだ。