私はもう一度枕を投げつけてやった。
またも、その枕はあっさりとキャッチされる。
「誰が!!」と、怒鳴ったけれど急上昇する体温は止められない。
顔が熱くなっていくのが分かると、私は慌てて体を彼とは反対側に向けた。
「照れちゃって♪か~わい♪」
「早く入ってらっしゃい!村木に怒られるわよ!」
私が言ってやると、
「それはまずいな」と納得し、今度こそ彼はバスルームに消えていった。
何なのよ!
苛々して、私はいつもよりきつめに帯を締め上げた。
胃が圧迫されて僅かに咳き込む。
口を押さえて、私は力なくベッドに逆戻り。
苦しいのは帯を締めたせい?
それとも―――……
その先は考えたくなかった。
いつの間にか啓人のペースに巻き込まれてる自分に嫌気がさす。
あの男にこれ以上自分を乱されてはダメ。
私は指輪をそっと触れた。



