Addict -中毒-



危ない、危ない!


私は何を考えてるの―――!?


慌てて布団をむぎゅっと戻すと、布団の中で


「ふぎゅっ」と変な声が聞こえた。


びっくりして体を後退させると、布団がごそごそ動き、中から鼻を押さえた啓人が顔を出した。


これで生きていることが証明されたわけだけど……




「いってぇ……」


寝ぼけまなこで、定まらない視界をきょろきょろさせて辺りを見渡している。


「あ…あのぉ……」


私はおずおずと声を掛けた。


「…………」


啓人は半目で私を真正面からじーっと見据えると、首を下げ大きな欠伸を漏らした。


「おはよー…って、今何時?」


何でもないように聞かれて、私の方が戸惑ったが、慌ててナイトテーブルの上のデジタル時計を確認した。


「朝の5時前…」


「ふーん…そう」


寝起きの掠れた声で小さく頷くと、またもごそごそっと布団に入る。


ちょっと…また寝るつもり?


私はどうしろって言うのよ。


と若干呆れつつもあった。彼は決して良い寝起きではないけれど、何故だか可愛く思えて憎めない気持ちだった。