恐る恐る、布団の端をめくってみると、啓人の寝顔がちらりと視界に入り、私は慌てて布団を戻した。
やってしまった―――!!!?
必死に記憶をまさぐるも、最後にあれから一体どれだけ飲んだのか、どんな会話をしたのか、さっぱりだ。
記憶が飛ぶ―――なんてホントにあるのね。
慌てて衣服を確認すると、和服の帯が外されているものの、他は至って乱れた様子がない。
そのことにほっと安堵する。
もう一度、布団をちらりとめくってみる。
啓人はこちらを向いて枕を抱きかかえ、心地良さそうに眠っていた。
こっちもスーツの上着とネクタイこそ解かれているが、ワイシャツ、スボン姿だった。ベルトもきっちりと巻きついている。
「はぁ」
思わず大きなため息が漏れる。
どうやら昨夜は何もなかったようだ。
布団を戻そうとした私の手が止まった。
寝てる―――……のよね…
だって全然動かないし、寝息も聞こえない。骨ばった肩も上下していない。
一見して死んでいるようにも見える。
私は恐る恐る彼の顔に顔を近づけると、僅かだが寝息が聞こえてきた。
そのことにほっとため息を漏らす。
まるで眠りの森のオーロラ姫のような、白雪姫のような…
啓人の、子供のような無邪気な寝顔が―――すごく可愛い。
長い睫を伏せて、大事そうに枕を抱えている姿なんて見てしまうと、どうしようもなく可愛くて―――
連れ去りたい衝動に駆られる。
金銭目的じゃない幼児誘拐なんて犯罪、考えられなかったけれど
今は少しだけ理解ができるかも……



