気になって私はホテルの一室を訪ねた。
いつかの神流グループ主催のパーティーで着た京友禅の色留袖を着て。
淡い藤色がグラデーションになっていて、裾に淡いピンクの芍薬と黒や青色といった小さな蝶が優雅に飛び交っている柄。
お気に入りの一着。
何故これを選んだのか自分でも良く分からない。
けれど何となく予感がした。
「藤枝様ですね、お待ちしておりました」
カウンターで宿泊券を見せると、これまたスマートな動作でホテルマンが部屋を案内してくれる。
部屋に案内されると、そこは広い広い―――スイートルーム。
大きなベッドが目について、そこにたくさんの月下美人が敷かれていた。
私は思わず微笑んだ。
誰かしらね。
こんな粋なことをする人は―――
でも私にはね、
誰がこんな風に招いてくれて、誰がこんな風にきれいに飾ってくれたのか
分かっちゃったわ。



