「そんなの変えればいいじゃない。あなたが変えればいいじゃない。
それとも自信がないの?」
わざと挑発的に睨むと、啓人はたじろいだように目をまばたきさせた。
その後彼は言葉を発することなく怒ったように目を吊り上げたり、かと思うと急にしょんぼりと項垂れたり、と百面相を繰り返していた。
私は黙って彼の表情を眺めていたけれど
啓人はやがてカクテルをじっと覗き込むと
それをぐいと煽った。
半分ほど一気に飲んで
トンっ
グラスをテーブルに置くと、突如
「やめた――――!!」
言いだし、私は小さく吐息。
啓人がこうまで保守的な男だとは思ってなかった。もっとこう
『欲しい』と願ったものに関しては絶対に手に入れる主義だと思って居た。
そうあってほしかった。
じゃないと私に掛けられた言葉が―――全部安っぽく変わってしまうと思ったから。
「あら、やっぱり諦めるのね。まぁ啓人が決めたことだから私は口出ししませんけど」
何だか急にどうでもよくなってしまった。
結局は彼は真剣に何かを取り組むことはないようだ。
つまり私に対しても真剣じゃなかったと―――
いえ、真剣になってほしいと願った自分がバカなだけだ。



