「その女がどうしたの?まさか好きになった?」
私がのんびり聞くと、
「まさか」
と笑顔で答えが返ってきた。
「会社の部下だよ。それに俺はないって言われた」
「何それ?どういうこと??」
やぁだ、面白いじゃない。
私が興味に目を輝かせて、むくりと頭を起こすと、髪の毛を梳いていた啓人の手が離れる。
「……いやぁ。大したことじゃないけどね。
まだ口説いてもないのに、“部長はありません”って一言釘差されるし、
会社の飲み会でタイプの男聞いたら佐々木って答えやがったんだぜ?
あ、佐々木覚えてる?」
「覚えてるわよ、五反田で会ったあなたの部下」
「そ。しかも俺“疲れそう”とまで言われた」
疲れそう……って、当たってるわね。
その子、なかなかの慧眼の持ち主ね。
啓人はかなり凹んでいそうだったけれど、私は彼を慰めるどころか
「へぇ。啓人をダメな女の子もいるんだぁ」
思わず本音が出てしまった。
「って言うか、俺って周りが言うほどイイ男?」
そう聞かれて私はまばたいた。
だけどすぐに啓人の腕に擦り寄ると、
「あら。啓人はイイ男よ。
だけど同じだけワルい男」



