啓人は私の解けた髪に、指を滑り込ませると、
「はぁ。
やっぱ女性はこうでないとね。紫利さんがすっごく可愛く見えるよ」
と一言。
「あら。妬けるわね。誰と比べてるのかしら?」
彼の腕の中でまどろみながら、私が答える。
前ならその女が誰なのか気になっていた。
その人は私より若くて美しいのかしら。その人は私より優しいのかしら。
でも今は
不思議なことに
何とも思わない。
「ん~~まったく笑わない女で、
ついでに言うと謎多き女」
ふーん……
「でも美人なんでしょ?ついでに言うとあなたの好み」
私は思わず笑った。
どうせ落とせなくて、苛々してるんでしょう?
そんな姿が容易に想像できる。
負けず嫌いだものね
あなたは。



