予定通り一週間オーストラリアで過ごし、成田に戻ってきて、ケータイの電源を入れた。
電源を落としていた一週間分、いくつかメールが届いていた。
その大半が萌羽で、あとは旅行会社や化粧品会社、エステなんかのダイレクトメールだ。
蒼介のメールはない。
一週間スクロールして遡ると、
啓人のアドレスのところで手が止まった。
本気で宿り木を求めているわけではない。
会いたい―――とも思ってない。
ただ何となく……お酒を飲む相手が欲しかった。
その後啓人と客室に行こうが、行こまいが、私の中に前ほどの熱情はこれっぽっちもなかった。
必死になって蒼介とただ感じが似ているだけの男を目で追っていたときから
私が本気で好きなのは
彼だと気付いたから。
でも
もう遅い。
啓人は今日は金曜日だから、もしかしたら仕事があって来れないかもしれない。
でも、来なければ来ないでいい。
そう思えるまで気持ちは落ち着いていた。
何故なんだろう―――
きっと一週間前のあの啓人のメールを見て、
決定的な何かが私の中で欠落してしまったのだろう。
“やっほ~ケイト♪元気してる??
やっとオーストラリアから帰ってきたのよ。
いつもの場所で待ってるわ。来れたら来てちょうだいネ”
啓人と負けず劣らずな気軽さで、私はメールを送りタクシーを拾った。



