萌羽はパックを剥がし終えると、
「姉さんて、どんな格好しててもやっぱり姉さんね」
それだけ言ってやっぱり焼酎のグラスを奪っていき一口飲んだ。
「ちょっと……やっぱり姉さんってどういう意味…」
「うん、ハズれね。今度は違うのにするわ」
と萌羽は私の問いに答えず顔をしかめる。
でも
答えてくれなくてもいいわ。
「いまいちなんて嘘よ。あなたと飲むお酒はどんな安物でも
クラブで飲むドンペリにも及ばないほど美味しいわ」
「私もよ、姉さん」
萌羽はうっすら笑う。
その笑顔の向こう側に、
蒼介のぎこちない笑顔を思い出した。
啓人の少年のようなあどけない笑顔を思い出した。
お酒も飲んだ。
手を繋いでキスをして、抱き合ってベッドを共にして―――
恋をして
そのどれもが美しい想い出。
消えてしまわないように。
私は萌羽の笑顔と向き合って、精一杯の笑顔を浮かべた。



