啓人の唇が私のうなじをそっと這う。 「啓人……」 手で制して彼の腕から逃れるように顔をよじらせると 「あなたは蝶だ。 ―――美しい紫の蝶。 銀の夜に舞う、蝶。 誰も、この手で捕らえて、かごの中に閉じ込めておくことも ピンで止めて眺めることも許されない。 自由で、強くて―――美しい 女」