Addict -中毒-




結局、啓人に押し切られる形で一緒にお風呂に入ることにした。


啓人と二人で風呂に入るのははじめて。


明るいから恥ずかしいてのはあったけれど、


「何で?綺麗じゃん」


と囁きながら首筋に口付けをされると、体どころか心までとろけてしまいそう。


だけどその甘い表情とは反対に、





「これは俺のもんだ」






いつになく強引に私の肩を抱き、噛み付くようなキスをされる。


「ちょっと…見えるとこはやめてよ」


咎めると、


「独占欲の強いお子ちゃまだから?許せよ」


と、またも我がまま。



まるでお湯以上に熱い啓人の吐息にのぼせそうになって、口付けをするたびに響く音がいつも以上にやらしくバスルーム内に響く。


バスタブに張った湯が波をつくり、


しっかりと綺麗な筋肉のついた力強い腕、くっきりと浮き出た鎖骨。啓人の若い肢体が私の体をさらに熱くする。


白い明かりの下で見た啓人の体は




すべてが計算されたような美しく若く、完成された肢体。


それは黄金比。





向かい合って口付けを交わし、啓人が私の腰を引き寄せる。啓人の膝の上に乗った形で目線が僅かにいつもと違う。


啓人を上から見下ろしている形になった。


私は啓人の黒い髪を撫でると


水滴に濡れた彼の髪はオールバックに撫で付けられた。


キリリとした男らしい眉は眉尻が逆立ったようになっている。力強い印象をもたらす眉の下で二つの色が違う瞳。


いっそ蠱惑的とも言えるような色気だ。





形の良い額が露になって、そのすべすべときめの細かい肌に口付けを落とすと同時。


ゆらり


波が一層ゆらめいた。






「………啓人……」






啓人の首の後ろ…襟足の髪を僅かに掴んで上を向かせると、啓人は私の顔を両手で挟み込み


水滴が水面に落ちる音を聞きながら―――


私たちはもう何度目か…数え切れない


でも一番熱いキスを




交わした。