Addict -中毒-




―――




「久しぶりね。元気だった?」


と言っても二週間も経っていない。それでも前はかなりの頻度で会っていたからそれを考えるとやっぱり久しぶりのことだった。


ティーラウンジでコーヒーを誘ったのは私から。


萌羽とは神流グループのパーティー以来。


少し痩せたかしら。もともとシャープなラインを描いていた頬がまた一段と鋭い線を描いている。


顔色も良くないみたいだった。


「ちゃんと食べてる?無理してない?」


まるで都会にやった娘へ向ける母親のような口ぶりで心配すると、


「大丈夫よ。ありがとう」と萌羽がぎこちなく笑う。


その笑顔が―――、一瞬だけ蒼介の無理していそうな笑顔と重なった。


またも言い知れな嫌な予感が、私の中で不協和音を奏でる。


「それ、プレゼント?あの神流の御曹司に?」


萌羽は私の隣の席に置いたブランドの紙袋を目配せして、探るように聞いてきた。


「……いいえ。蒼介に…」


私の答えに萌羽は口に近づけていたティーカップの手を止め、意外そうに目を開いた。


「離婚……してないの?」


「ええ、まだ……。心配してくれてるの?あなたには迷惑ばかり掛けて申し訳ないわね」


私が小さく微笑むと、萌羽はさっきのぎこちない笑顔を浮かべると思いきや、今度ははっきりと目に見えて悲しそうに眉を寄せた。


「…ごめんなさい、私。今日はちょっと予定があったの。これで失礼するわ」


高級茶葉の紅茶も半分以上残して、萌羽はバッグの中から慌てて財布を取り出し、千円札をテーブルに置いた。


「え…ちょっと、萌羽…」


私が戸惑って止めたにも関わらず、萌羽はバッグを引っつかみ、逃げるようにその場を去ってしまった。


後に残された私は―――テーブルの上に乗せられた千円札を呆然と見つめるしかなかった。