ゆったりとしたハープの音がして、透き通るような女性の唄がオーディオからしっとりと流れてきた。


「ケルティック・ウーマン?」


「うん。“O Holy Night”クリスマスシーズンだし♪」


啓人は屈託なく笑った。


またこの男は……女が好みそうな音楽をチョイスして…


と思ったけれど、悪い気はしなかった。


彼女たちの歌結構好きだし。




透き通るような女性ボーカルの声が聞こえて、私はその歌声に耳を澄ました。


やや大きめに設定したボリュームで、室内にその声は響き渡る。




♪Truly He taught us to love one another
「互いに愛せよ」と説き 平和の道を教え



His law is love and His gospel is peace
すべてのくびきをこぼち 自由を与え給う




Chains shall He break for the slave is our brother
げに主こそ平和の君 類(たぐい)なき愛の人



And in His name all oppression shall cease
げに主こそ平和の君 類(たぐい)なき愛の人



Sweet hymns of joy in grateful chorus raise we,
伝えよ、その福音(おとずれ)を
広めよ、聖き御業を




Let all within us praise His holy name
たたえよ、声の限り





歌の意味を知れば、それが恋人たちに捧げられる甘い歌詞でないことに気付くけれど、それでもしっとりと心に響く。



何だか小さなことにこだわっていた自分がバカみたいに思えるほど、その歌は澄んでいて、優しい。