私は割りと直感で物事を決める方だと思う。
だから買い物もちょっとでも悩んだりしたのなら、買わない。
逆に全然買う気がなかったのに、何か惹かれるものがあったら迷うことなくそれを買う。
買い物だけではない。
今までの恋愛においてもそうだと思ってた。
学生時代のお付き合いも、蒼介のプロポーズも、ほとんど直感で決めた。
この人となら幸せになれそう。
そんな直感がはたらいたんだと思う。
だけど啓人のときは―――?
彼とこうなるまで私は随分悩んだし、随分迷った。
気持ちは決まっていたのに、いけないことをしていると分かっていたのに―――
あまりにも時間を掛けすぎて、それでも選んだ結果に、
私は満足しているのだろうか。
このバングルを手に入れたときのように、気分が高揚して言いようのない満足感を得られたのだろうか。
いいえ。
手に入れた筈なのに―――それは簡単に私の手からすり抜けてしまう……
淡くて、脆くて―――
危険なもの。



