Addict -中毒-



お義母さんが運ばれたのは、外科は外科だったけれど―――整形外科だった。


広い個室の病室のベッドに横たわった義理の母は若干顔色が悪かったものの、いつもと変わらない様子だった。


「え!?階段で足を滑らせて骨にヒビ?」


蒼介は、お義兄さんのお嫁さんに説明を受け、目を開いた。


「何だよ。運ばれたって言うから何かあったのかと思ったのに」


「実際何かあったんだよ。なんだい、母親の骨にヒビが入ったってのにその態度は」


と、お義母さんが口を尖らせる。


「勘違いしたのはそっちじゃないか。大層に嫁まで連れてきて。てっきり私が死の淵に立たされてるとでも思ったのかい?」


義母は私を見て、眉を吊り上げるとぷいと視線を逸らす。


「そんなつもりはございません。でも大したことじゃなくて良かった」


「ふん。どうだか。内心舌打ちしたい気分だろう」


こんな憎まれ口慣れている。顔を合わすと恨み言の一つや二つ私に投げかけることがもう日課になっている。今更どうってことない。


義母は私に憎まれ口を叩いてストレス発散をしているのだろう。


でも思ったより大きな病気や怪我でなくて良かった。入院って聞いたから要らない覚悟していたけれど。


この様子じゃまだまだ長生きしそうだ。


お義姉さんも慣れたもので、申し訳無さそうに私に目配せしてきて苦笑を漏らしている。


だけど穏やかな状況を打ち破る蒼介の言葉が病室に響いた。





「母さん!」






広い病室に、今までにない彼のはっきりと強い言葉を聞いて、私は驚いた。