ごめんなさい、萌羽………
萌羽の柔らかい髪をそっと撫で、私はそっと目を伏せた。
カーテンが開いた窓の外を眺めると、花火の打ちあがった夜空にはまだ煙がくすぶっているように見えた。
鈍い色のベールをかぶったような夜空にはつい1時間ほど前、宝石のような輝きを彩っていたのだ。
今は銀色の光をした月が静かに浮かんでいるだけ。
それが妙に寒々しく、寂しかったけれど、
静寂の中に浮かぶ淡い月は―――何もかも受け止めてくるような、そんな色をしていた。
――――――
――
次の日は朝の10時にチェックアウトすることにした。
時間ぎりぎりでホテルのカウンターで手続きを済ませると、同じように昨夜のホステスたちがロビーの外でタクシーを待っている。
その中にアキヨの姿はなかった。
そのことにほっとしながらも、それがいけない考えだとすぐに自分を戒める。
萌羽は最初の内、気まずそうにしていたものの、すぐにいつもの調子に戻って、
「昨日はごめんなさい。私、酔ってたみたいで」と顔の前で手を合わせる。
「いいのよ。そうゆうときはあるわ」
と苦笑いを返し、それでも萌羽は真剣な目で
「でも昨日言ったことは嘘じゃないよ。全部私の本音。気持ち悪い思いさせてごめんなさい」
とはっきりと言い切った。
私はちょっと笑うと、
「気持ち悪くなんかないわ。あなたがそう想ってくれていたことにちょっとびっくりしたけど、
ありがとうね」
その言葉に萌羽が安心したように目を細める。
今はまだ―――こんな言葉しか返せない。
でもいつか……
「愛してる」って彼女に言えるときがくる。
男女のそれとは違うけど、家族ではないけれど―――きっとそれ以上の感情で、彼女に向き合える。
いつか―――



