「ジュニアが姉さんの言ってた彼だと気付いて、私が手を引いた理由はね。姉さんと争いたくないから。
姉さんには勝てないとも思ったし、何より姉さんを傷つけたくなかった―――
それに彼は遊び人っぽいし。結婚できる可能性もすごく少ないし。
あんな、女を弄ぶ男大嫌い!」
萌羽は急に声を荒げた。
アルコールのせいだろうか。涙もろくなっているし、感情が昂ぶりやすくもなっている。
私は宥めるように萌羽の肩を撫でた。
「権力を傘にきて、お金とルックスで女を釣って!男なんて嫌い、嫌い!嫌い!!」
萌羽は叫ぶように声を荒げた。
「萌羽、落ち着いて。私が悪かったわ」
困り果てて何度も肩を撫でると、萌羽は肩で荒く息を吐き出しながら、深く吐息をついた。
「女も嫌いよ。ナンバー1だからって妬み、恨まれ、陰湿な苛めばかり!!」
萌羽が再び声を荒げ、私を睨むように見据えてきた。
困惑したようにその険しい視線を受け止め、私は瞳を揺らした。
すると同じように萌羽も瞳を揺らし、その奥で感情の断片がまるで線を繋ぐようにはっきりと光を描いた。
「だけど姉さんは別よ?姉さんは私にいつだって優しかった。
私がどんな私になろうと、姉さんだけは変わらなかった。
姉さんだけ優しくしてくれた。まるで妹のように、いつだって可愛がってくれた。
何も出来なかった私がナンバー1の地位に上り詰められたのも、全部姉さんのお陰」
男は嫌い。
女も嫌い。
だけど姉さんは――――好き………



